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ブナ林が貴重である理由

ブナ林がたどった運命
早春。ブナの芽吹きが始まる。山にはまだ雪が残っているが、日の光を浴びたブナの幹は雪を溶かし、根元に土をのぞかせる。そして新緑の季節。若葉の薄い緑は瞬く間に濃い緑に変化し、白い樹皮とのコンストラストを際立たせる。ブナ林は野鳥をはじめ動物をたくさん養い、また水を貯え、山地斜面を安定に保つ上で重要な役割を果たしている。しかし、かつてはブナは役に立たない木の代名詞であった、「橅」という字があてられ、木地師がお椀やしゃもじを加工する程度の用途しかなかった。それが幸いして伐採を免れ、第二次世界大戦前までは全国何処でも広いブナ林が残っていたが、敗戦でサハリンが日本の領土でなくなり、良質の針葉樹が供給されなくなり当時の製紙業界は広葉樹を用いた製紙法を開発し、ブナも製紙に利用されるようになり、全国で「ブナ退治」と呼ばれたほどの伐採がおこなわれ、ブナ林は急速に消えていった。林野庁による国有林の切り売りも始まり、伐採は国立公園の中にまで及んでゆき、残りがわずかになって、ようやく白神山地などでブナ林の保護が始まった。

森そのものが「生きた化石」
ブナ林は日本列島のほか、ヨーロッぱとアメリカ東部にも分布するから、一見すると世界的にかなり広い分布を持っているように見えるが、まとまったブナ林はこの3地域にしか分布していない。もともとこの3地域のブナ林は一つであった。300万年前は地球は温暖で温帯の森林はカナダの極北地域など北極を取り囲む地域にわずかに分布しているにすぎなかったが、その後気象の寒冷化で植生帯は南下を始めたが、その際、まず針葉樹林が北方にとどまり分離し次にブナやミズナラ、カエデ類が温帯の北部にとどまり現在の植生分布に近ずいたが、このようにして成立したブナ林は、南下の結果、太平洋、大西洋、中央アジアの乾燥地帯によって隔てられ、現在のように三か所に分かれた。その後200万年前ころからヨーロッパ、アメリカ東部では大陸氷河は発達し繰り返す氷期で滅亡する植物が相次ぎ、植物相がすっかり単純化してしまい植物の種類の乏しいブナ林になった。一方日本では大規模な大陸氷河は発達せず被害も少なく原形を保つことができたのである。モクレンやトチノキのような原始的な植物を多く含み、いわば、森そのものが「生き残り」といってもよい存在なのである。

岩波新書 小泉武栄著 「山の自然学」 より抜粋
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