登山ブームや健康ブームで山に踏み入る中高年が増えている。本来、山には危険が付きものだが絶対の安全を期待し、何か有れば救助されて当たり前という風潮が有る。
備えや覚悟が不十分な登山者は山に入るべからず。
救助ヘリコプターをタクシー代わりに呼びつける安易な救助要請が増えている。
そもそも主体性を持って山に入っているひとがどれほどいるのか?
救助費用を自己負担させれば、自覚をもった登山者が増え。遭難も減るはずだ。
かつての山男たちには『救助を要請するのは恥,山は自分の足で登って自分の足で降りてくるもの』という認識が有ったが、今は『登山は自己責任で』という大前提が崩れ、行政ヘリがタダである事を知ってか、まるでタクシ-を呼ぶような感覚で救助が要請される、
その救助費用は税金から捻出されている。
・過去最悪の遭難件数突出する中高年!
中高年の登山ブームが始まる1990年初頭以降、急増している。
昨年だけでも発生件数1676件、遭難者数2085人、行方不明317人
いずれも過去最悪である
1990年は発生件数571件、遭難者数729人、20年で3倍になっている。
昨年の遭難者数2085人のうち40歳以上は1602人で全体の4分の3以上である。
・遭難事故はなぜ増え続けているのか?
急増した中高年世代の登山者は、山にはたくさんのリスクが潜んでいて、一瞬の不注意や予断が命取りになってしまうこと、よって山に登るにはそれ相応の知識と技術と体力が必要になってくることを理解してなかった。
・救助現場で活躍する官と民!
遭難事故が起きた時に救助活動に当たるのは、主に警察、消防、民間救助隊の
3つの組織である。
現在は、警察か消防防災が救助にムカウケースが多く、中部山岳地を中心にかつては山岳救助にたけた民間ヘリが活躍していたが、事故が相次いだことも有り、最近はほとんど出動する機会が無い。
・『タダの行政ヘリ』決して無料ではない!
現行の救助体制では、警察、消防、自衛隊のヘリコプターや救助隊員が出動した時には、その活動は任務の一環とされるため、救助費用が請求されることはないが、
その費用は県と国の税金で賄われているだけの話である。
・自己責任の浸透で遭難は減少する!
救助費用を自己負担とし、山岳保険への加入が義務となれば、何より『登山は自己責任で』という意識が高まるようになり、安易な救助要請も確実に減るであろう。もちろん反対意見もあるだろうし、解決すべき問題も少なくないと思う。しかし、今、急務とされているのは、『連れられ登山』に慣らされてしまっている登山者に自立を促すことであり、
救助費用の受益者負担はいわばそのためのショック療法みたいなものだ。
増え続ける遭難事故に歯止めをかける一手段として、
そろそろこの問題に真剣に向き合っていかねばならない。
株式会社ウェッジ社発行 ウェッジより抜粋